ラインは色々な種類があるのでどれがいいのか選ぶのが難しい釣具の一つ。素材にしてもナイロン、フロロカーボン、PE、エステルなど様々な種類があり、初心者にはさっぱりわからないだろう。
今回はラインについての基礎知識を紹介する。
目次
ラインの素材について
ラインの素材は主にナイロン、フロロカーボン、PE、エステルの4種類が一般的。
それぞれ浮力や耐摩耗性などその性質は大きく異なるのだがどんな特徴があるのかメリット・デメリットに分けて説明していく。
ナイロン
メリットは柔らかく適度な張りがあるので扱いやすくトラブルも少ないこと。また価格も低くコストパフォーマンスに優れている。比重は比較的小さいものの水よりも重い(1.14)ので時間が経つと沈む。
デメリットは吸水性、紫外線による劣化があること。長期間の使用には耐えられないため一定期間ごとに巻き替えが必要。他、伸びやすくアタリがわかりづらい点などがある。
ナイロンラインは上記の性質から釣りを始めたての初心者には特におすすめのライン。ラインはトラブルがつきものなので出来る限りトラブルの少ないラインを使うことは重要である。
フロロカーボン
メリットは硬く擦れに強いこと、比重が高く(1.78)沈みやすい特徴と初期の伸びが少ないためアタリがわかりやすいこと、屈折率が他の素材よりも水に近く見破られづらいことなど。吸水性や紫外線による劣化が無い点もメリットのひとつ。
デメリットは硬いためトラブルが多いことや比較的高価であること。
フロロカーボンラインはバス釣りにおいてはアタリのわかりやすさからメインラインに積極的に採用されているもののトラブルの多さからほかの釣りでメインラインに使用されることは少なく一般的にリーダー(ハリス)に使われる素材である。
PEライン
メリットはナイロンラインに比べ3倍程度の引張強度を持つこと、しなやかで巻きぐせがつかないため抜群の飛距離を出すこと、伸びが約2%とナイロンの20%に比べ抜群に少なく感度が高いことなど。比重は0.97程度で水より軽く浮く。
デメリットは様々なPEラインが出ていて選びづらいこと、価格が高いこと、しなやかすぎて扱いづらいこと、風などの影響を受けやすいこと、擦れに非常に弱くリーダーラインが必須となることなど。ラインがガイドに擦れると独特の糸鳴りがするなどもデメリットのひとつか。
PEラインは防弾チョッキにも使われている特殊素材で非常に強い。ただし製法により製品にばらつきがありコーティングを使ったラインはある程度張りがあって扱いやすいものの使っているうちにコーティングが剥がれてきてしまうなどのデメリットも多い。
それでも現在ソルトウォーターのルアー釣りにおいて圧倒的なシェアを誇るのがこのPEラインで広大なフィールドで抜群の飛距離を出せるPEラインはソルトルアーの必須アイテムになっている。
参考:「PEラインは選び辛い!色々使ってみて思った特徴をまとめてみる」
エステル
メリットは伸びが少なく比重が高めで感度が良い所、モノフィラメントなのでPEラインよりも扱いやすいこと、紫外線や吸水性による劣化が殆ど無いこと、比較的低価格であることなど。比重は1.4とフロロカーボンとナイロンの中間でそこそこ沈みやすい。
デメリットは伸びが少ないのでちょっとした事で切れてしまうことがあること、巻きぐせが付きづらいためトラブルになることがあること、リーダーを付ける必要があることなど。
エステル製のラインはあまり普及していない。扱いづらいことやこれといって特化した良さが少ないことから使うメリットがあまり感じられないからか歴史は古いもののほとんど忘れられた存在だった。
だが最近アジングなどのライトゲームで感度の良さとPEよりも沈みが速いなどのメリットにより注目が集まりライトゲーム用のエステル製ラインがいくつか発売されている。
コラム「ラインは魚から見えているのか?」
結論から言うと見えている。どんなに細いラインでも見えているので魚からラインは見えていると思いながら釣りをする必要がある。
あと、ラインは目で見えているだけでなく魚の特有の器官である側線で感じ取られている。ラインが水を切って動く時に微妙な水流の変化を起こすのだがその水流の変化を感じ取っている。その為、魚がスレたポイントではラインが水を切る音だけで魚はプレッシャーを感じとり逃げていく。
そのためラインの存在を消すためには水切り音をできるだけたてないようにルアーを動かす必要がある。村上晴彦氏の提唱する「たるませ引き」というのがラインの存在を消す技のひとつでラインの自重でたるんだ状態を作り出しその状態でルアーを引くとラインが水を切りづらくなるのである。
他、ラインが水を切らない状態がトップウォーターの釣りで、スレた状況でトップウォータールアーが効くと言える。
ラインが切れないように気をつけること
根ずれに気をつける
ラインは根に擦れると傷つき切れてしまう原因になる。魚は基本的に根の近くにいたり根に獲物を追い詰めて食ったりするので根を狙う方がよく釣れるのだが明らかに根が荒い場所では対策をしなくてはならない。
根ずれ対策はメインラインにフロロカーボンラインを使うことやフロロカーボンラインのリーダーを使用することワンランク太いラインを使用することなど。
根の荒い場所で根ずれは非常によく起こることなので常にラインチェックを行いラインが傷ついていないかを確認しながら釣りをすると切れにくく出来る。ラインチェックは指先でチェックする他、細いラインなどの場合は唇でチェックしたりする。
参考:「リーダーの基礎知識」
ドラグ調節に気をつける
ドラグというのはラインが切れないように一定の力でラインが引っ張られるとリールのスプールが回転して糸が出るようになったシステムのことで魚がラインの直線強度より強い力で引っ張った時にラインが出て行けばラインが切れることはない。
気をつけなければならないのはドラグが緩いと針がちゃんと刺さらないことがあること。
合わせた時にドラグが出てしまったりした時はしっかりと針をかけるためにドラグを指で抑えてラインが出ないようにして追い合わせを入れたりする。(アワセ切れに注意)
また、ドラグを使ったやり取りはオープンなエリアだと慎重に時間をたっぷりかけて行うとよいが性能の低いリールやロッドを使用しているとラインにヨレが溜まってトラブルが発生したりするので注意が必要なこともある。出来る限り短時間で勝負をつける事のできるようなドラグ設定を心がける必要がある。
ラインのメンテナンスについて
ナイロンラインは吸水性があるのでソルト(海水)で使ったらリールからスプールを外して洗面器などに水を張り一晩漬けておくと良い。
PEラインやフロロカーボンなどは吸水性が無いので塩が結晶化しないようにしっかり水洗いしておく程度で問題ない。
ラインのメンテナンスアイテムはフッ素加工が有名。フッ素加工によって表面にコーティングを行えばガイドとの摩擦も減り飛距離をアップさせたりラインの寿命をのばすことが可能になる。
おすすめコーティング剤
ラインの交換時期について
ライン交換についてだがラインは魚と人をつなぐ命綱で非常に重要なタックルの一つである。最初に明言しておきたいのがラインは消耗品と割り切り常に万全なものを使用してほしいということ。
ナイロンラインは劣化があるのでスポンサーのついているプロなどは毎回交換する。フロロカーボンラインでもカバーを狙ったりするとどうしても細かいキズが入っている可能性があるので出来れば毎回交換したいが金銭的に一般アングラーには難しいところ。
私の場合はナイロン・フロロラインはラインが明らかにくたびれたと感じたら交換している。くたびれたとはどういった状態かというと糸グセがあまりにひどかったり糸ヨレでラインが絡まることが多くなってきたりしてきた状態のこと。
ナイロンラインだと結構釣りに行ったら半年以内。フロロカーボンラインでも結構使うと半年以内で間違いなくくたびれる。本当に釣りまくってキャストしまくると2週間ぐらいでこれは巻き変えようと思うほど痛む事がある。特に細いラインで巨大な獲物をかけてしまった場合は一回で相当なダメージを受けてしまう事がある。
PEラインは基本的に劣化が殆ど無いラインで巻きぐせなども付きづらく強いためナイロンラインやフロロカーボンラインよりも長期間使用可能。価格もそう簡単に巻き変えられるような値段設定ではないことが多いので通常1年以上は最低でも使う。
そのためには上記のフッ素加工などのメンテナンスが欠かせない。
PEラインのくたびれてきた感じはラインが毛羽立ってきたと感じた時で、通常は大体リーダーから2〜3メートルぐらいが傷みやすいので時々2〜3メートルだけ切断して使用する。
全体的にくたびれてきたと感じた場合は他のリールに一度ラインを巻きとって、くたびれた部分をスプール側にするといういわゆる裏返しという方法でラインを新品同様の状態に復活させる。
150メートルラインは通常70メートル程度しか使っていないので反対側を使用すればまた新品というわけである。